免疫力を高める飲み物②—ジンジャーティー、チャイ、シナモンテイー、ココア
前回はアーユルヴェーダのインスタントティー「サマハンティー」をご紹介しました。
少しマニアックから入りましたので、もう少し手軽に楽しめる飲み物について。
寒い季節ですから即効で温まり、多くの家庭で常備している材料で手軽に作れるものから順にご紹介します。どれも加齢に伴う衰えのケアにとっても欠かせないドリンクです。

●ジンジャーティー
生のショウガに多く含まれる辛味成分のジンゲロールには、血の巡りをよくし一時的に発汗を促す作用がありますが、体を温めたいときはショウガを加熱するとジンゲロールの一部がショウガオールという成分に変化し、温める効果が高まります。
加熱によってジンゲロールは強い殺菌作用がある辛味成分にも変化しますから抗炎症作用や鎮痛作用があり、喉の痛みを緩和する働きや感染症の予防にもなります。
また、血行をよくする働き、胃腸の働きを整えたり、白血球を増やして免疫を上げる働きもあります。
最近では活性酸素を除去する抗酸化作用でも注目されています。活性酸素は老化や病気の原因にもなりますから、老化予防(アンチエイジング)や生活習慣病の予防という観点からも効能が期待されています。
<作り方のコツ>
★①小鍋に200~300mlの水を入れ、ショウガのスライス2~3枚を入れて、3~5分加熱する。もちろん手間をいとわなければすりおろしでもOK。(このショウガ湯は他の飲み物ともブレンドすると便利)。
②普段の紅茶を作る要領で①の湯を注ぎ、ハチミツかオリゴ糖や砂糖でお好みの甘さにします。私のおすすめは、スライスしたショウガをカップに入れ、食べながら飲むと一層体が温まります。
ただし、ショウガの摂り過ぎは刺激が強すぎるので、一日20グラムまでとのこと。

●チャイ、シナモンティー
チャイはシナモンとカルダモン、クローブで作るインドの代表的な紅茶です。
本格的に煮出し、ホットミルクと半々にブレンドして作ることはできますが、かなりマニアック。
シナモンティーもシナモンスティックを紅茶にそのまま入れるとできますが、手に入れにくく、コストもかかります。
ということで、比較的お手軽に作れる専門の茶葉がカルディなどで購入できます(写真参照)。
スパイスティーがなぜお勧めかと言うと、60歳以上の方にとって切実な血管の問題とも関係するからです。
まずは2023年1月にアップしている「さらばゴースト血管」までさかのぼります。
簡単におさらいしてみましょう。
毛細血管の役割は、全身の細胞のひとつひとつに酸素や栄養を届けることと、いらなくなった老廃物を回収することです。体を流れる血液の99%は毛細血管ですから、重要な役割を担っていますが、60代になると、20代に比べ約60%が機能しなくなるというのです。
毛細血管がゴースト化したもののことをゴースト血管と呼びます。
あるけど機能していないので「ゴースト」。
特に手足の末端部分は血流が滞りがちになりやすく、その部分に栄養が行きわたらなくなることでゴースト血管になりやすいようです。
ゴースト血管になると体はどうなるのか?
脳で起これば認知症に、骨で起きれば骨粗しょう症に、腎臓や肝臓で起きればその機能が衰えて腎・肝の病気に、肌に起こればしわやしみ、たるみに、各所で冷えやむくみが起きたり、免疫力の低下などから風邪やガン他の深刻な病気を引き起こします。美容のみならず、さまざまな病気の引き金にもなります。
予防する方法は、基本的には動脈硬化にならないようにすることが大切。生活習慣病予防や免疫力を高める方法と大きく変わりません。血管を硬くしないように、継続的な筋トレや有酸素運動を行うこと、自律神経を整えてリラックスすること、体を温めることることなどなど。
ゴースト血管は血管の内皮と外皮の間にすき間ができてしまい、そこから血液がだだ漏れして機能しなくなるのが原因です。そのすき間を接着してくれるのがTie2(タイツー)という成分で、このTie2を活性化する役割を果たしてくれる食品をブログではいくつか紹介しました。ルイボスティーとシナモンとヒハツ(別名ロングペッパー、長コショウ)について書きました。
今回も同じ理由でチャイとシナモンティーをお勧めしたいです。
いずれも体を温め、血管を活性化し、抗酸化作用があるので、★①のショウガ入りの煮だし湯で作れば、さらにパワーアップしたブレンドティーになります。
チャイは牛乳か豆乳で割って飲むとまろやかになり、神経が安らぎます。
シナモンは昔から風邪や関節痛、頭痛、胃腸の問題の治療薬として使われていた歴史があります。虫歯や、肺炎・気管支炎などを予防する抗菌作用、脳機能改善作用もありますから、私は大量にシナモンパウダーを常備して、コーヒー他、さまざまな飲み物や料理に加えたりしています。

●ココア
ホットココアは飲むとホッとする飲み物で、気持ちがなごみます。
チョコレートも同じですね。
どちらも原料は同じでカカオ豆からできています。
違いは、ココアがカカオ豆を炒ってすり潰しペースト状にしたものからカカオバターを取り除いて粉末状にしたもの。チョコレートはカカオバターや砂糖、乳製品などが入ったものです。
カカオにはさまざまな効果のあるポリフェノールが含まれていますが、中でもカカオポリフェノールやテオブロミンは血管拡張作用があります。
また、今注目されているのが、カカオポリフェノールが持つブレインフードとしての効能です(拙著「80代まで快適に生きるための体と心のセルフケア入門」のPart5「脳のセルフケア」P138参照)。
認知症を含めた脳の活性化の研究が世界的に進められていますが、最新の知見によるキーワードのひとつが「BDNF」というものです。日本語に訳すと「脳由来神経栄養因子」。加齢とともに量が低下するため、認知機能が衰える原因のひとつとも考えられています。
BDNFは海馬に多く存在するタンパク質で、神経細胞をつくったり、再生したりする役割を持っています。
これを増やす方法としては、ひとつは運動。これについては、後日別のブログでお話するとして、もうひとつは食事から増やすこともできるとのこと。
その注目食材がカカオ70%以上入っているチョコレート(他にはカマンベールチーズ、発芽玄米など)。チョコレートに含まれるカカオポリフェノールを摂取するとBDNFが増えることによって、神経をつなぐシナプスの形成が促され、記憶力や認知機能の向上が期待されているのです。
チョコレートもいいですが、砂糖と油脂が入っているので食べ過ぎには要注意です。ならばココアを飲む習慣をつけませんか?
私は、始めから砂糖入りではなく、ノンシュガーのココアをおすすめします。ココア小さじ山盛り2杯、ハチミツ適宜お好みで、それにシナモンパウダー小さじ1/2をお湯で溶き、熱湯と牛乳or豆乳半々で温めます。それにきな粉や酒粕をブレンドしても美味しいですよ。
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