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執筆者の写真ミウラ

小学校に届いた3つのグローブの力

遠い昔の話です。

父の勤める会社の社宅で育った私の遊び場は、いわゆる住宅地で育った人とは違っていました。

会社の上の階に社員用の社宅があり、周りは会社や工場ばかり。

同じ社宅の年上のお兄さんやお姉さん、会社の若い従業員の人が遊び相手でした。

仲間に入れてもらいたいので、お荷物になりながらも会社の資材を使った遊びや少しワイルドな探検に明け暮れた思い出がよみがえります。

「怖いけれどやってみたい」

そんな気持ちで、今では考えられないようなたくさんのチャレンジがありましたが、その中に年上のお兄さんたちとキャッチボールをした思い出があります。

男の人が投げる球は、仮に手加減してくれたとしても当時の幼い私には剛速球に見えて、ドキドキしながら大人用のグローブで受けていました。

投げるのはヘナヘナボールで笑われ、バットで打つのもまったくダメでしたが、受けるのだけは少しずつ慣れてきて少し上達したような…。お陰で、小学校でのドッジボールでボールをキャッチするのだけは得意だったように思います。



先日、毎年依頼されている某児童福祉施設で「ほっこりワークショップ」を実施しました。子どもたちが受けるストレス・マネージメントのワークショップです。

講師側も施設側も、このような体験学習が子どもたちの成長にとって大切だからとの思いで行うのですが、当の子どもたちにとっては自由時間なのに、ある意味強制的に集められるのですから、迷惑千万といったモチベーションです。

ここはいかに興味をもってもらえるか、いかに参加してもらえるかが試される現場なのです。


最初はキッズヨガでリフレッシュしてもらい、その後の感情トレーニングの話し合いの場につなげます。気持ちがほぐれて参加度が高いケースと厳しいケースがあり、今回は後者でした。

ここのパート担当のもうひとりのスタッフが具体的に「うれしい気持ち」を思い出してもらうように子どもたちにあれこれ問いかけをします。


スタッフ「例えばね。みんなの学校は大谷選手のグローブは届いたかな?」

そうしたら、ヨガの時間からだるそうに寝っ転がってクネクネしていた女の子の表情が一変しました。

女の子が手を上げて「この間届いたよ! サインが入ってた!」

スタッフ「すご~い。見てどう思った?」

女の子「すごいカッコよかった! わたしグローブはめてみたよ!」

私「わー、いいなぁ、うらやましいなぁ」

女の子は誇らし気に笑みを浮かべていました。


全国の小学校に大谷選手がプレゼントした3つグローブ。

どれだけの子どもたちにワクワクするような嬉しい気持ちを届けたのでしょうか。

その一端を垣間見れて、このプレゼントの素晴らしさを実感しました。

そして、回りまわって私自身も大谷選手に助けられ、ワークショップを無事に終えることができたのでした。


先日ネットの記事で見ましたが、グローブが届けられても、野球はやりたくないと思っている子どもも少なくないとか。今どきは野球をやれる場所が少ないし、他のスポーツもたくさんありますから、そうなるだろうなとは思います。

でも、せっかくのチャンスなのだから、子どもたちにはキャッチボールだけでもチャレンジしてほしいと思います。ボールをキャッチするときのドキドキ感や高揚感に男女の区別はないことを、私自身が知っているからです。

学校や地域の皆さんには、スポーツとしての野球というより、ゲーム感覚でキャッチボールや三角ベースを楽しめる環境を作ってあげてほしいと願います。


大谷翔平選手はグローブを全国の小学校にプレゼントするプロジェクトに加え、新たにECCのアンバサダーになり、日本の小中高校生100名に夏休みの海外留学とホームステイをプレゼントするプロジェクトを発足させました。かかる費用の全額を彼が負担するそうです。

グローブも留学も、始めは彼の発案から始まっているとのこと。


何て素晴らしい発想なのでしょうか! 私は胸が熱くなりました。

なぜなら、例え野球をやらなくても、英語の習得や留学に興味がなくても、彼が届けるメッセージには、全国の子どもたちに向けて「私はきみたちの豊かな成長と未来を応援しているよ」という思いが溢れているからです。

このような大人の存在に、子どもたちは必ず力をもらいます。

私自身も財力はありませんが、ささやかな活動の中で「子どもたちの成長を応援する大人が世の中にはいるんだよ」ということを知ってもらうだけでも意味があるのではないか。

そう思って続けている活動です。大谷選手からも力をもらいました。












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