top of page
執筆者の写真ミウラ

意外と知らない自律神経のお話②――交感神経と副交感神経

更新日:2021年4月5日

自律神経のお話①では、自律神経が自分の意思では動かせないもので、私たちの生命活動の根幹を成すものであることをお話ししました。


自律神経は、交感神経と副交感神経という相反する働きによってコントロールされています。

わかりやすく車の機能に例えると、アクセルが交感神経、ブレーキが副交感神経に当たります。

運動したり仕事をしたりして活動が活発になると交感神経が優位に働くので、これがアクセル。

くつろいでる時や眠っている時にはリラックスモードになり副交感神経が働くので、これがブレーキの役割を担います。

車を安全に運転するためには、どちらが大事ということではなく、両方の機能がきちんと働くことが必要なように、私たちの体も交感神経と副交感神経が両方バランスよく働くことが大切です。


基本的に、日中は活動モードになるので交感神経がやや優位に働き、夕方から夜にかけては副交感神経がやや優位になって、心身を休めるモードに変わるのが健康的なサイクルです。

二つの自律神経はバランスが大事で、どちらか一方が極端に高くなるのは不健康な状態と言えます。

特に交感神経が高く、副交感神経が極端に低い時に、私たちは病気になりやすいのです。

反対に、副交感神経が極端に高くて、交感神経が低い場合はうつ病の傾向があるそうです。

心身の健康にとって大切なのは、どちらかが極端に高いのではなく、どちらも同じように高めの状態の中でバランスを保つことです。


具体的に、それぞれの神経が優位になると、私たちの体がどのように変化しているのかを簡単に説明しましょう。


交感神経が優位になると、血管が収縮しますから心拍数が上がり、血圧が上昇します。

同時に気管支が広がり、呼吸の回数が増えます。

肝臓ではブドウ糖がたくさん作られて血液中に送り出され、体はエネルギーを発揮しやすい環境になるので、脳では集中力が高まり、筋肉も働かせやすい状態になります。

体も脳もアクティブな状態になって、アクセルを踏んだ車のように「活動モード」「戦闘モード」になります。

このように交感神経が優位になると体は活動的になるのですが、ただ一つ、体の中で消化器官の働きだけは逆に鎮静化します。ここは、覚えておきたい重要なポイントです。

生き延びるためには、戦闘に必要な機能に栄養を優先的に送り込む仕組みが備わっているためです。


一方の副交感神経が優位になると、血管が拡張しますから心拍や血圧はゆったりと下降し、自然に呼吸も穏やかになり、心身共にリラックスした「お休みモード」に変わります。

この時、私たちの体は全身の血流の流れが良くなって、消化器官の活動が活発になるのです。

よく聞く話で、多忙な生活や緊張状態が続くと、神経性胃炎や下痢や便秘になったりしますね。

これは明らかに自律神経のバランスの乱れが原因のことが多いです。

交感神経の高い状態が続き、副交感神経が極端に働きにくくなり、胃腸の活動が停滞した結果起きた消化器官のトラブルです。


私たちの体は、常にホメオスタシス――恒常性を保とうとする自律神経の働きによって、健康が維持される仕組みが本来は備わっています。

しかしながら、不規則な生活習慣や、現代社会特有のストレス、加齢による体の変化等によって、常に緊張感を強いられた生活を送ると、交感神経が過剰に優位になり、副交感神経が働きにくくなる傾向があります。


交感神経と副交感神経は、両方がバランスよく機能することが重要ですから、次回からは副交感神経を上げるにはどうしたらよいかを考えていきたいと思います。

次回のテーマは、自分の意思ではコントロールできない自律神経の働きの中で、唯一コントロールが可能だと言われている呼吸について。


<参考文献:「ヨーガ療法講義資料」及び「なぜこれは健康にいいのか?」小林弘幸(順天堂大学医学部教授)著・サンマーク出版他、自律神経の研究者である小林先生の著述を参考にしています>






最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page