終末期の母に寄り添う日々です
「秋は物悲しい」とよく言われています。
若い時はピンときませんでしたが、しみじみと感じられる歳になりました。
物悲しいけれど、その感覚はいやではない。紅葉が美しい季節でもあります。
日が短くなり、あぁ、もうすぐ冬が来るんだなと感じながら、心地よく美しい季節を愛でる感覚でしょうか。メランコリーな気分というとロマンティックですね。
なぜ秋になると物悲しいのか、調べてみました。
気温の低下が生命維持において不安を抱かせる説や、日の光を浴びる時間が少なくなる分、セロトニンが不足してプチ鬱になる説、植物は葉が枯れて落ち、生き物は寿命を終えたり冬眠の準備をするため、何かが終わる感覚が不安を呼び起こす説など……。
今年の10月は、この何かが終わる感覚が私の心を占めています。
93歳の母が終末期に入りました。
4月に介護老人保健施設に入居し、直後に緊急事態宣言が出てしまいました。
それにより、面会ができない時期が続きました(7月から月1回の面会はできるようになりましたが2名までの制限あり)。
今、コロナ禍で、全国の施設や病院に入っているお年寄りが家族と会えないことで、大変厳しい日々を過ごしています。それを思うと胸が痛くなります。
10月になって、食事がとれなくなったとの連絡を受け、家族が呼ばれました。
その時、面会室に車いすで連れてこられた母は、目をつむり、姿勢維持もできずに傾いた状態で、声をかけても、ようやく開いた目はうつろ。数秒たつと閉じてしまう状態でした。
施設の医師、看護師、介護士と話し、すぐにターミナルケアの手続きをとりました。
ターミナルケアとは、残された時間を幸せに過ごすためのケアのことです。
これにより個室に入り、家族と共に過ごす環境を整えていただきました。
感染予防のための制約はありますが、面会が比較的自由にできるようになりました。
以来、近くに住む兄は毎日、私は2~3日に1度行って、食事の介助とマッサージに通っています。
胃ろう処置はしない選択をしたため、いかに口から栄養を摂れるかが命の灯につながります。
誤嚥の心配もありますから、すべてムース食です。
家族が通うようになると、次第に少しずつですが1割2割と食べられるようになりました。
私も里芋のポタージュやかぼちゃのミルク煮、茶わん蒸しなど作って持参しますが、数口食べられるだけで良しとしています。
一時的に6~7割くらいは食べられる日もでてきて希望を持ちましたが、今は2割~5割の間を行ったり来たりの状況です。
食事介助も大切ですが、それよりも欠かせないことがあります。
アロマのオイルマッサージです。
ほぼ寝たきりになって自力で体を動かすことができないということは、体の中のめぐりが滞りがちになるということ。
少しでも血流やリンパのめぐりをよくするために、ローズマリーとゼラニウムをブレンドしたオイルを使ってアロママッサージを続けています。
アロマの香りは、嗅神経から脳にダイレクトに刺激を伝えるため、脳内の自律神経の働きや記憶、感情にアプローチし、活性化してくれます。
また、皮膚への心地よい接触は、副交感神経を刺激して幸せホルモンの分泌を促してくれます。
今回、母と数カ月ぶりに接する時間を持てたことでわかったこと。
それは、お話がそれほどできなくても、記憶が定かでなくても、触れ合うことで充分満足できるコミュニケーションができるということです。
お互いの肌の温もりを感じることで、施術する側の私自身の心が和むのです。
生意気だった娘を、常に信じて応援してくれた母に感謝の言葉しかありません。
いつまで続くのかわかりませんが、この時間を大切に過ごそうと思っています。
もしも、このブログを読んでいる方の中で、ご家族の介護をされている方がいらっしゃったら、足と手だけでいいので優しく撫でるようにマッサージをしてみてはいかがでしょうか?
あれば、アロマ入りのトリートメントオイルを使うと、撫でるだけでも気持ちよいです。ただし、敏感肌の方は肌に合わない場合も考えられますので、最初は腕の柔らかい部分に塗ってテストしてみましょう。
特別な技術はいりません。コツは、常に末端から始めて、心臓に向かう方向で撫でること。力を入れずに優しくゆっくりと撫でること。ぜひ、試してみてください。
施設等で、今も思うように面会ができない方も多いのではないかと思います。
お気持ち、よ~くわかります。
お手紙や写真を送ったりするだけでも、安心できると思います。
貴重な面会時間を、大切にお過ごしください。
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