腸活⑤―発酵食品
- ミウラ
- 2022年11月2日
- 読了時間: 6分
更新日:2022年11月7日
腸活のための食品摂取のやり方には、大きく分けて2つあります。
1つは、生きた有用菌(善玉菌)を直接体内に摂り入れる方法(プロバイオティクス)。
2つめは、体の中にすでにある善玉菌を増やすためのエサになる食品を摂り入れる方法(プレバイオティクス)です。
これまでのブログで取り上げた腸活①~④の食物繊維は、後者のルートです。
今回は、前者の生きた有用菌である発酵食品をご紹介します。
ただし、ここで忘れてはならないのは、善玉菌を含む発酵食品を摂取したとしても、棲みつくことはありません。ある程度の期間腸内で有効に働いて、3日以内に便で排出されてしまいます。
腸内フローラの種類は、生まれてだいたい3歳くらいまでに決まっていますから、私たちは自分の持つ善玉菌を食事でいかに増やして豊かにするかにかかっています。
ですから毎日続けて摂取する習慣が大切になってきます。

■発酵食品には何がある?
発酵食品とは、微生物の働きにより、有機物が分解されて、味や栄養価が高められた食品のことです。
微生物には、人間にとって有害な「腐敗」と有益な「発酵」の二つに分けられます。
基本的には、肉や魚などがアンモニア臭を出して食べられなくなるのが「腐敗」で、旨味が増して、体に良い効果が表れるのが「発酵」食品と考えてよいでしょう。
厳密には、境界線は曖昧です。
発酵食品は、日本では保存食としても古くから利用されていたこともあり、私たち日本人にとっては馴染み深い食品が多いですね。
ざっとあげてみると、味噌、酢、酒、しょうゆ、塩麹、甘酒、酒粕、魚醤、納豆、鰹節、ぬか漬け、塩辛など。
海外から入ってお馴染みになった発酵食品は、ヨーグルト、チーズ、キムチ、生ハム、アンチョビ、ビールやワインなどのアルコール飲料、豆板醤など調味料他。
細かく分類すると100以上もあり、意外なものとしては、葛餅やナタデココも発酵食品です。
発酵を促す微生物には、細菌や酵母、カビがあります。
細菌はヨーグルトやキムチを作る「乳酸菌」が代表です。
他には大豆を発酵させる「納豆菌」、食酢を作る「酢酸菌」など。腸内環境を整え、便秘や肌荒れにも有効です。
糖を分解して、アルコールと二酸化炭素を生み出すのが酵母。
カビは有毒なものがほとんどですが、発酵に使われるカビには毒がありません。
甘酒を作る「麹菌」や青カビ、白カビなど。
発酵食品は「細菌」「酵母」「カビ」の中から複数を組み合わせたものもあり、 例えば、みりんや焼酎は酵母とカビから、ブルーチーズやカマンベールチーズは細菌とカビ、また味噌・日本酒・醤油は、細菌と酵母とカビと3種類の微生物が関係しています。
■乳酸菌とビフィズス菌は違うのか?
腸活というと、よく耳にするのがビフィズス菌です。
乳酸菌とビフィズス菌はどう違うのか、知っていますか?
どちらも善玉菌ですが、異なる微生物です。
●乳酸菌
小腸に多く棲んでいます(大腸にも棲息している)。
発酵食品など自然界にもあります。人や動物の体内に摂り入れると、糖を分解して大量の乳酸を作ります。それをたくさんの腸内細菌が食べて、小腸内が酸性になることで悪玉菌の生育は抑えられ、善玉菌が活性化して免疫力を高めます。
●ビフィズス菌
酸素がある場所では生育できないので、自然界に棲むことができません。
酸素がほとんどない大腸に多く棲息しています。
人や動物の体内で乳酸と酢酸を作り出すことで、悪玉菌の増殖を抑えます。善玉菌を守り、腸粘膜を丈夫にして便通を改善します。
乳児の時が最も多く、加齢とともに減少します。ですから腸内に定住するビフィズス菌をいかに育てるかが重要なのです。
成人の場合で、全腸内細菌の10%を占めていますから、乳酸菌の100倍以上多いですが、高齢者でまったくなくなる人もいるそうです。
最近の研究では、大腸内でビフィズス菌が作り出す短鎖脂肪酸という有機酸が体に有効であることに注目が集まり、研究も続けられています。
どちらも大切ですが、それぞれの違いもわかったうえで摂り入れたいですね。
■腸内フローラを育てるおすすめ発酵食品
発酵食品の中には、体に有益な面もありながら、食べ過ぎると体に悪い影響を及ぼす物もありますから、ほどほどを継続して摂取することが大切です。
ここでは、日常的に手に入れやすく、腸内環境をより活性化するのに有効なおすすめ発酵食品をいくつかピックアップします。
●味噌 麹菌の働きで糖やたんぱく質が分解され、酵母菌や乳酸菌が誘発されて複雑な発酵が進んででき上ります。
●ぬか漬け 乳酸菌と酪酸菌によって発酵されます。酪酸菌は生きて大腸に届きやすく、腸内で短鎖脂肪酸を産生します。
●納豆 大豆を納豆菌で発酵させる。納豆菌は生きて腸まで届き、腸内フローラを活性化させる。ネバネバは善玉菌のエサになる水溶性食物繊維でもある。
●ヨーグルト 動物性発酵食品の代表。入っている乳酸菌の種類はさまざま。善玉菌のエサになる食物繊維と一緒に食べるとより効果的。乳糖を分解しにくい人は無理は禁物です。
●チーズ 乳酸菌が豊富に含まれます。
●キムチ 韓国で4000年前からある発酵食で、発酵された乳酸菌の数がヨーグルトより遥かに多いと言われています。浅漬けのものは発酵されてないので要注意。
●甘酒 米と麹菌を発酵させて作る飲料。発酵過程でできるオリゴ糖や食物繊維が善玉菌のエサになる。栄養価が豊富で「飲む点滴」とも言われています。
●酒粕 米と米麹と酵母で分解されてできたどろどろの日本酒をろ過して、残った固体が酒粕。オリゴ糖や食物繊維、栄養価も豊富ですが、甘酒と異なり、アルコール分が残っているので、子どもには控えた方が良い。
※味噌と漬け物、キムチは塩分摂りすぎ、乳製品は乳脂肪の摂りすぎに配慮しましょう。
腸活の1番のコツは、毎日の生活に少しずつ多種類の食材を摂り入れることですから、私自身は、上記の発酵食品を1日に3種類以上は食べるように心がけています。
例えば、納豆とみそ汁に漬け物で、軽く3種類ですから、この程度ならそれほど負担になりません。
写真は、ある日のわが家に揃っていた腸活食品です。
おそらく、謎の物もありますから、それについては腸活レシピでいつか取り上げます。
最近の研究から、腸活は単なる便秘解消や整腸作用にとどまらず、大腸がん等のがん疾患、認知症、うつ病、アレルギー症状、潰瘍性大腸炎、リウマチなど、現代特有の疾患を予防する効果があることがわかっていて、腸は健康的な生活の鍵をにぎる臓器であることは間違いありません。
無理のない程度に、食生活を見直して、セルフケアしていきましょう。
次回は、4大食品の③オリゴ糖と④オメガ3系脂肪酸について。
<参考文献>
「自力で免疫力を上げる腸の教科書」(藤田鉱一郎著・宝島社)
「老化は腸で止められた」(光岡知足著・青春出版)
「新しい腸の教科書」(江田証・池田書店)
「婦人画報2022年11月号、腸活のキホン」(婦人画報社)
「腸活メソッド」(主婦の友社)
「腸内細菌叢とは」健康長寿ネット
学研健達ねっと
太陽化学(株)HP学術コラム
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