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執筆者の写真ミウラ

桜の記憶

桜と言えばここという、自分の人生に彩りを与えてくれた思い出のスポットがあります。

この季節になると、なぜか過去の記憶を手繰り寄せたくなりませんか?


そこは、決して桜の名所として人が大勢集まる場所ではないかもしれません。

だけど「私にとっては一番大切な桜」というような場所が、誰にでもあるはずです。



私にも3つあります。

一つはすぐ近くにあるので、今年も足を運びました。

以前住んでいたマンションの裏手にある呑川緑道の桜並木。

そこに立つと、幼かった娘が帽子を器にしてひらひらと落ちる桜吹雪の花びらをキャッチしようと、楽しそうに走り回る姿がよみがえります。


ほんわかした可愛いイラストで知られる いもとようこさんの「あしたもあそぼうね」は、今も娘が大切にしている絵本です。

桜の妖精さくらこちゃんが、遊び友だちがいないうさぎのぴょんこと、くまのくうたを結びつけてくれるお話です。

桜の花びらでうれしそうに遊ぶイラストと、当時の娘が重なります。

毎年桜が咲くと、あどけない娘と頑張っていた自分に会いに、この場所に立って同じ写真を撮っています。


二つめは、もっと若い頃の生意気だった自分が見える場所です。

四谷から市ヶ谷の外堀につながる桜並木。

10代の終わりから20代の頃の桜と言えば、大学と勤め先の行き帰りに眺めた土手沿いの桜。薄ピンクのソメイヨシノと黄色いレンギョウの花との調和がきれいでした。

学生時代や会社の仲間と、いわゆるお花見という名の宴会もやりました。ていうか、会社の帰りは先輩に拉致されて夜桜の宴会に参加せざるを得ませんでした(笑)

コロナ禍もあり、5年くらいご無沙汰の景色です。

少し斜に構えて世の中を見ていた自分は、今から考えると未熟だったと振り返ります。


最後は、今や超有名な桜の名所、中目黒の川沿いの桜。

18年前の秋に父が亡くなり、半年後の3月に義母が亡くなりました。

あの頃は義父母も実父も要介護状態で、最も大変な数年間でした。

3月の桜の時期に義母が亡くなって一段落した時には放心状態で、気分転換に行って眺めたのが目黒川の桜です。

以来、ここの桜は諸行無常を感じるスポットになりました。

周りは皆さんウキウキ気分ですが、私ひとりだけ感傷に耽って佇んでいます。


皆さんの心に残る桜の記憶は、どんな風景でしょうか?

たまには、桜と共に来し方を振り返り、想いに耽るのもいいなぁと感じています。



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