加齢にともなう尿もれ、頻尿問題①
更新日:2023年3月12日
P&Gジャパンが昨年行った女性の尿もれ問題に関する大調査の結果、意外なことがわかりました。
対象は20代~60代の日本女性4万人。
尿もれ(尿失禁)は、一般的に高齢者か、妊娠中や出産直後の妊婦さんの問題と捉えられていましたが、調査結果では、20代以上の2人に1人以上の女性が尿もれ経験があることがわかりました(20~60代全体で63.7%)。
内訳は、20代→57.1%、30代→64.4%、40代→64.0%、50代→64.8%、60代→66.2%。
70代や80代のデータはありませんが、割合は増加していると推察できますが、この調査結果から、尿もれが必ずしも高齢者や妊婦さんだけではないことがわかったのです。
そのうちの6割の女性が誰にも相談していないことも判明しました。
ここで改めて考えてみましょう。
もともと、女性は尿道が短いので、男性に比べると「もれやすい」構造になっています。
男性の尿道は、尿だけでなく精液の通路にもなっており、長さは20cmほど。
出口は前立腺で囲まれていてL字型に曲がっています。
一方、女性の尿道は4cmしかなく、まっすぐ外に向かっています。
しかも、骨盤内の臓器を支えている骨盤底が出産によって傷みやすかったり、加齢による筋力の低下、脳神経の障がいによってダメージを受けやすいため、尿もれしやすい体の構造になっています。
尿もれは、決して恥ずかしいことではなく、女性であれば当たり前のこととして前向きに対処していくことが大切です。
また、尿もれまではいかなくても、頻尿で悩んでいる人も少なくありません。
一般的な頻尿の定義は、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上、夜間1回以上からを言うようです。
頻尿と尿もれは密接な関係があるそうです。
頻尿の主な原因は、何らかの原因で膀胱が過敏になり、尿意が頻繁に起こることが尿もれにつながるのです。
一度尿失禁があると、早め早めにトイレに行くようになりますが、これが続くと膀胱は尿をためる力が弱くなり、少しの尿量がたまっただけで尿意を感じるようになります。
これが頻尿です。
また、多くの女性が悩んでいる頻尿に夜間頻尿があります。
就寝後、排尿のために一晩に1回以上起きなければならず、日常生活に支障が出ている状態です。
夜間頻尿の約4分の3は「夜間多尿」が原因のようです。
通常、昼間に比べて夜間の尿量は減ります。
しかし、加齢によって夜間の尿量を減らす「抗利尿ホルモン」の分泌が減ったり、尿を濃縮する腎臓の機能が衰えたりすることで、夜間に作られる尿が増えてしまうことによって頻尿になります。
もう一つ大きな原因は、足のむくみです。
一日の生活を終える頃には、重力により体の水分が下肢にたまりがちになります。
この状態で、夜横になって寝ると、下肢の水分が静脈を通って心臓に戻り、脳のセンサーは余計な水分を排出するように、腎臓に指令を出します。
結果、就寝中にもかかわらず、尿がたくさん作られてしまいます。
私自身の尿もれ、頻尿問題はどうかな?と振りかえってみると、ヨガ歴十数年のお陰で尿もれはないですが、早め早めにトイレに行く習慣はあるので、日中は6~9回は行っているように感じます。
特にヨガをする前は、必ずトイレに行きます。夜間はたまに1回起きる程度。
頻尿の定義には少し当てはまりますが、本人がそれほど生活に困っていない(QOLに支障がない)のであれば問題はないように思っていました。
ところがごく最近になって、朝方に1回トイレに起きる日が増えたように感じます。
夜間多尿のメカニズムに当てはめると、やはり加齢によるさまざまな機能が衰えている感は否めないということで、まずは受け入れて、セルフケアを考えようと思っています。
尿もれ、頻尿問題は、他の病気との関連もありますから、生活に支障が出る場合や尿の排出に痛みや違和感がある場合は、まずは医療にかかることが必要です。
専門は泌尿器科ですが、気後れする場合は婦人科でもいいようです。
最近は「尿失禁外来」、「女性泌尿器科」、「泌尿器婦人科(ウロギネコロジー)」、「ウロギネセンター」といった病院施設も増えています。
医療にかかるほどではない尿もれ、頻尿問題の対処法や予防法は、地道なセルフケアが必須です。
8月は目黒コミュニティクラス、シニアのためのオンラインヨガともに、排尿トラブルを予防するための骨盤を中心としたセルフケアも行う予定にしています。
骨盤底筋群と連動する筋肉を強くするヨガは、体幹トレーニングとしても効果てきめんです。
次回は、もう少し具体的に、排尿トラブル問題に対するアプローチをご紹介します。
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<参考資料>
「我慢しないで!女性の頻尿・尿失禁」(日刊スポーツコラム、日大医学部泌尿器科学系主任教授 高橋悟)
P&G「日本女性20代から40代40000人に聴く、UT実態大規模調査」プレスリリース
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