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執筆者の写真ミウラ

脳のケア④—噛む習慣とブレインフード

以前、タニタの社員食堂のランチがヘルシーで内容も充実していると話題になり、テレビの番組で紹介されたのを観たことがあります。

取材した方が、ごぼうのきんぴらを試食して、硬いのにビックリしていました。

タニタでは、自然に咀嚼回数が増えるよう、野菜を大きめにカットし、火を通しすぎない調理をすることで、あえて噛みごたえのある硬さにしているとのことでした。

当時は、消化に良くないのではとも思いましたが、今は考え方が変わりました。


脳の老化予防の観点から食を考えると、何を食べるかよりも、どうやって食べるかの方がずっと大事だそうです。 高齢者は歯が良くないのも関係してか、ついつい柔らかいものを好んで食べる傾向がありますが、「噛む」ことの大切さをもっと重要視した方がよさそうです。

食物繊維が豊富に含まれる根菜類をよく噛んで食べることは、腸活の面でも基本になっています。

主食のご飯にしても、雑穀米を入れることで、噛み応えがある食感になりますから、噛む回数が増えていることを実感します。


人間はひと噛みで3.5mlの脳血流が増加します。

昭和初期の人々は、1日に1420回噛んでいたのに対し、現代人はたった620回程度だとか。 マウスの実験では、柔らかい食べ物を与え続けると、記憶を司る海馬の神経細胞の新生が減少するという報告もあるそうです。

しっかりと咀嚼する習慣をつけると、唾液の量も増えます。唾液は消化を助け、細菌が体に入るのを防ぐ働き、美味しいと感じる味覚も促してくれます。

噛む回数が少ないと感じる人は、ガムを噛んだりすることで、咀嚼の回数不足を補う方法もありますから、努めて噛む習慣をつけましょう。


「噛む」には当然口の中の健康が大切になります。歯を多く残すためには、日頃の歯磨き習慣と歯周病予防のための歯科検診が、将来の認知症予防のためにも大切なことは言うまでもありません。


■脳を活性化するブレインフードとは?


MRIの画像診断が可能になったことで、神経科学(脳科学)は日進月歩の進化を遂げています。

脳の前頭前野と海馬は、かなりの高齢になっても新しい神経細胞が作られることがわかっています。ただし、できても回路に組み込まないと死んでしまうのです。

脳は新しいことや楽しいと思えることに使うことで活性化しますが、使わないとどんどん衰えるということです。

以下は、神経細胞の新生に必要な食材を7つに絞り、ご紹介します。

これまでの骨活や腸活と重なるものが多いですから、食生活にお役立てください。


①オメガ3系脂肪酸DHA,EPAなどを豊富に含む青魚、アマニ油、エゴマ油など。

オメガ3系脂肪酸は神経細胞を再生したり、保護したりする働きがある。学習力や記憶力の維持に必須の栄養素。


②オリーブオイル、ナッツ類

抗酸化作用があり、脳の酸化を防ぎ、活性化をサポートする


③ブルーベリー、ブラックベリー、いちごなどのベリー類

抗酸化作用があり、脳の疲労を軽減させる


④大豆、豆類

大豆に含まれるレシチンは体内でアセチルコリンに変換され、記憶力や認知機能を高める


⑤チョコレート(できればカカオ70%以上含有のもの)

カカオには抗酸化物質のテオブロミンが含まれる。脳をリラックスさせたり、細胞の老化を防ぐ働きがある。認知能力を促進させる効果が期待できるBDNF(脳由来神経栄養因子)が増える。カカオの含有量が多いほど苦い。糖質の摂り過ぎに注意。


⑥バナナ

脳を休ませる神経伝達物質セロトニンを生成するのに必要なトリプトファン、ビタミンB6などすべての栄養素が含まれている。


⑦貝類

貝類に豊富に含まれる亜鉛は、たんぱく質の生産や脳細胞の成長を担っている。海馬に多く存在して、記憶の形成や感覚伝達などを調整する働きを担っている。


脳の神経細胞の材料になるのは、半分はたんぱく質です。全身の筋肉や臓器はもちろんのこと、脳のためにも良質なたんぱく質を摂ることは大切。上記以外でも、卵や肉、魚等のたんぱく質が豊富な食材をしっかりと摂りましょう。



<参考資料>

朝日新聞Reライフネット「脳活に有効な食べ物と食べ方のポイント」

転ばぬ先の杖・認知症予防特選集」(長谷川嘉哉著)

「認知症は予防が9割」(森勇磨・マガジンハウス新書)


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